関東大震災時の虐殺犠牲者を含む朝鮮人の追悼式典に、小池百合子東京都知事が今年も追悼文を送らないことについて、学識者や医師、弁護士らが集まった「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」が23日、都庁で記者会見を開き、小池知事に追悼文を送るよう要望したと発表した。21日までに文書で送付したという。
追悼式典は例年、朝鮮人犠牲者の追悼碑がある都立横網町公園(墨田区)で開催。歴代都知事は追悼文を送っていたが、小池都知事は就任翌年の2017年から送っていない。23日の定例会見でも、都慰霊堂の大法要で毎年「全ての方々に慰霊する気持ちを表している」として、方針に変わりはないと示唆した。
同会は要望書で、追悼文送付は差別や偏見、関連する犯罪を許さないという強い姿勢を都民に示すことになる、と主張。アジア諸国にも、都が加害の歴史に向き合う姿勢を示すことにもなるとした。同会代表で法政大前総長の田中優子名誉教授は会見で、日常の差別が暴力になって表れるのはこれからもありうる、とした上で、「天災の犠牲と、加害による殺人とは違う。安心できる都をつくるために都知事が発信すべきで、(送付を)やめた理由も説明が必要」と訴えた。これまでに、式典主催者や東大教職員有志も同様の要請をしている。(土舘聡一)